親しき仲にも演技あり
最近、この言葉を久しぶりに思い出しました。元の諺(ことわざ)は、「親しき仲にも礼儀あり」ですが、それを元にしたパロディーです。
1970年代に、『ビックリハウス』という読者の投稿だけで成り立つ月刊誌があり、そのなかに「教訓カレンダー」というコーナーがありました。
「親しき仲にも演技あり」は、そのコーナーに投稿された“教訓”です。
なぜ、「親しき仲にも演技あり」を思い出したかというと、季刊『パーソナルトレーニング』第8号の特集、「失敗から学ぶプロの仕事」の取材で、プロのサービスのあり方についていろいろと考えさせられたからです。
本橋恵美さんへのインタビューのなかで、ある新人の若い男性トレーナーの話がありました。なかなかイケメンのトレーナーで、そのクラブの女性層にすぐに人気が出たらしいのですが、人気も束の間、そのクライアントたちが一気に離れていったというのです。
その理由は、女性クライアントの方、それぞれに、そのトレーナーが、「私のお母さんと歳が同じくらいです」ということをいっていたからだといいいます。
新人の男性トレーナーにしてみれば、親しみの気持ちを表すつもりでいったことが、女性クライアントにしてみると、セッションを受ける意欲を削ぐような言葉になっていたわけです。
プロのサービスというのは、簡単ではないですね。ていねいな言葉づかいだけしていればいいわけではないし、一方的に親近感を持って接すればいいわけでもない。
絶妙な距離をとりながら、クライアントの望むことに対して、最大限のおもてなしをする必要があります。
親しさはあったほうがいいのは当然ですが、そこにも、プロの距離感と“演技”が必要なのだと思います。
「親しき仲にも演技あり」ではないでしょうか。
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